朝起きれない起立性調節障害の治療
朝、体調が悪く学校に行けない、休みがちになるお子さんの原因は一人ひとり異なります。
その中でも、朝起きれない、気持ちが悪い、頭痛がするなどの症状を伴う「起立性調節障害(OD)」は、思春期に好発する自律神経の機能不全を起こしている病気です。
そして、鍼灸治療は、薬のように副作用もなく、起立性調節障害の原因である自律神経機能を正常に働かせる治療法です。
起立性調節障害は、推定患者数約100万人。一般の中学生全体の1割、小児科を受診する中学生に限ると2割を占めており、特にコロナ禍の影響で変化した生活環境によって患者数は急増しています。しかし、医療機関での薬物治療だけで治るものではなく、専門の鍼灸治療が必要とされます。
起立性調節障害(OD)とは
起立性調節障害は、自律神経系の異常で循環器系の調節がうまくいかなくなる疾患です。
この病気は、主に小学生中学年から中学生の思春期前後の小児に多く見られ、起立時にめまい、動悸、失神、朝起きれない、頭が痛いなどの症状が特徴である自律神経(末梢血管交感神経)活動が低下してしまう病気です。中には、高校やそれ以降進学、就職してからもこの病気に悩んでいる人も少なくありません。
はじめは、午前中は調子が悪く、脳に十分血液が通わないため、授業や仕事に集中出来ないことが多いですが、夕方には回復するため、「怠け病」と扱われて辛い思いをすることもあります。
起立性調節障害の身体的メカニズム
人が立ち上がると血液は重力のために下半身に移動します。そのため動脈、静脈のいずれの血管系でも、血液の重力、すなわち静水圧によって血管腔が拡張するため、血圧が低下します。
また下半身に血液が貯留するため心臓に還る血液量が減少します。
これに対して健常者では、代償機構が作動し交感神経末端からノルアドレナリンが分泌され、血管収縮が起こり、血圧が維持されます。
ところが起立性調節障害では、起立直後すぐに活発化するはずの交感神経が作動せず、また循環血漿流量も少ないことが相まって血圧が低下したままになります。
一方、心臓は血圧を維持するために心拍数を増加させ、起立中に頻脈を起こします。
起立性調節障害チェック表
次のような症状は、起立性調節障害かもしれません。
診断は、次に掲げる「チェックリスト」うち3つ以上当てはまり、かつサブタイプのいずれかに合致することとなっています。 (起立性調節障害サポートグループ)
チェックリスト
- 立ちくらみやめまい
- 起立時の気分不良や失神
- 入浴時や嫌なことで気分不良
- 動悸や息切れ
- 朝起きられず午前中調子が悪い
- 顔色が青白い
- 食欲がない
- 腹痛
- 倦怠感
- 頭痛
- 乗り物酔い
上記のものを学校生活に置き換えると
- 朝調子が悪くて学校に行けない
- 朝礼で立っていると貧血を起こす
- 起立、礼をすると気持ち悪い
- 頭痛や腹痛で授業に集中できない
- ふらつきがあるので階段が怖い
- 持久走や水泳で吐いてしまう
- 給食をおいしく食べられない
- 修学旅行や職場体験に行けない
などがあります。
起立性調節障害の治療
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問診
当院では、まず患者さんから気になる症状、悪化する状況をうかがって、脈診等の検査で体の状態を把握します。
その後、治療内容と今後の方針を説明させていただき、治療に入ります。起立性調節障害は、単に自律神経の病気ではなく、他にもいくつかの原因が関係しています。
急に背が伸びてきた、体格が変化した、声変わりをしたなどを考慮、加えて月経の状況、夜尿症などの経験、低血圧や貧血、微熱が続いているかなど疑わしい項目を「問診」させていただきます。 -
鍼灸治療
当院の治療法は、小児・自律神経系専門の鍼灸治療となります。
自律神経の権威である東京大学医学博士、西條一止先生の治療法を継承しており、鍼灸治療が人体に及ぼす自律神経機能の変化を科学的根拠に基づいた治療法をおこなっています。
このメカニズムを利用し、末梢血管交感神経活動が低下してしまう起立性調節障害の治療に応用しています。